最近、過去の値動きを使ったトレーディング検証をひたすらやっているのですが、とても有意な検証ができたので少しご紹介。
画像がない不親切な記事ですが、また気が向いた時にチャートの画像も持ってきます。(→実例書きました!)
通貨ペアはUSD/JPY、データは2013年の値動きで検証しましたが、2015年相場や他の通貨ペアでも勝てています。
前提
検証通貨ペア: USDJPY
Lot数: 固定 5Lot (ナンピンなし・両建て無し。一度に1つのポジションのみ。)
使うテクニカルチャート: ボリンジャーバンド1σ/2σ/3σ, 単純移動平均(10/20), 一目均衡表, MACD
実際にはRSIやEnvelopeなども使っていますが、最低限上の4種類だけで大丈夫です。期間はすべてチャートツールのデフォルトで構わないでしょう。
エントリーとエグジットのルール
エントリーはシンプルです。いずれもトレンドフォローで、逆張りはしません。これらのルールはいずれも足の確定ベースです。
ルール 1「ある一定のレンジ相場が続いたのち、ボリンジャーバンドの1σをはみ出してレンジ相場の高値・安値をブレイクした」
ルール 2「ルール1でエントリーしてエグジットした、またはルール1でエントリーしなかったものの大きなトレンドが出現した際、10本または20本の移動平均線付近で反発した場合」
ただし、より精度を高めるために次の執行条件を確認します。
- 5分足なら1時間足でトレンドが同じ方向を向いているか、もしくはレンジである
→ 調整局面によるダマシを排除します
- ブレイクした足がボリンジャーバンドの3σに到達していない
→ 3σを超えて伸びた足は既に行き過ぎであることが多く、またロスカットまでの値幅が大きいです
- エントリー方向に向かって10〜20pips以内の位置に抵抗線がない
→ 例えば意識されやすい移動平均線や一目均衡表の雲、直近の抵抗線があると伸びにくいのでエントリーしません。これは少し長い時間足のチャートでも確認します
- エントリー後30分の間に重要な指標発表がない
→ 指標発表には賭けない。クロス円の場合は米国指標も大切
- ボリンジャーバンド±2σの幅が広がりつつある、またはトレンド方向に並行である (ルール2のみ)
→ 狭くなってきている場合はトレンドの終わりが近く、ロスカットになりがちです
これらのルールは、ベースとなる前述のエントリーサインが出現したとき、そのサインを執行するか否かの判断に用いるものです。勝率を向上させるためにはこの判断が鍵で、損益に直結するでしょう。これらの条件は一見複雑なようにも見えますが、要は「ダマシの可能性が高いか、またはトレンド方向に障壁がありトレンドが発生しても継続しにくい」時にエントリーしない、執行時のフィルタリングルールと言えます。上記の執行条件以外にも、個人的にトレンドが伸びなさそうだな、と不安に思う点があればエントリーを見送った方が賢明でしょう。
また、ルール2はルール1でトレンドの当初にエントリーできなかったときのエントリールールです。ルール1でポジションを持っているときに2のシグナルが出てもスルーです。買い増し、売り増しはしないスタイルです。
損切りのエグジットは、終値ベースでレンジ相場の高値安値を割り込んで戻ったときです。大体5〜10pipsくらいの損切りが多いです。
利確のエグジットが難しいのですが、大体このような考えでエグジットしています。
- ボリンジャーバンドの3σを超えたとき
- 上下どちらかのボリンジャーバンドの傾きが緩やかになるか、もしくは反転したとき
- ボリンジャーバンドの2σでバンドウォークしていたところ、内側に乖離してしまったとき
- 2本続けてナローレンジ(十字架)が出現したとき
上記のいずれかで利確せず、見送った場合は10本の移動平均線まで戻ってきたときを利確ラインにしています。移動平均線付近まで戻ってきてしまった場合は反発して値幅を更に取れることもあるので、線を割り込むまではあえてエグジットしません。
実例
昨日(2015年1月6日夜)、実際に私がトレードしたチャート(5分足)です。

紫で囲った部分がレンジで方向感がなく、この時点でブレイクに備えて待機していたところ、22:25の足でレンジの高値、安値を終値ベースで大きく上にブレイクしました。
既に3σを超えており、高値警戒感はあったもののブレイクした高値までの距離が6pipsと許容範囲内だったため、レンジブレイクした足が確定した次の足の始値118.520円で買いエントリーしました。
その後堅調に推移しましたが、22:40に続いて22:50の足で同じような長さで上ひげが出ていることから上値が重いと判断、その足の次の始値①、118.648円で+13pipsの利益確定を行いました。
その後は、利確を行った足の終値でもう一段の高値118.716円を付けましたが、次の足からは陰線が続き、3本目の陰線②で10本の赤い移動平均線を割り込みました。
利確のルールでは、最終的に陰線②で移動平均線を割った足が確定した次の足(陽線③)の始値でエグジットでしたので、利益は随分小さくなりますが最悪でもここでエグジットしなくてはいけません。
また、積極的な利食いを行うのであれば黄色のボリンジャーバンド2σから乖離したのが確定した次の足(②)の始値でエグジットすることも可能です。ただし、この位置はちょうど移動平均線上であるため、反発を期待した場合は③でのエグジットになってしまったと思われます。
- エントリー: 118.520
- 利益確定① 118.648 (+12.8pips)
- 利益確定②: 118.600 (+8pips)
- 利益確定③: 118.543 (+2.3pips)
- ロスカットライン: 118.460 (-6pips)
結果として、このトレードでは①の位置で利益を確定するのが最適ということでした。今回は大きなトレンドではありませんでしたね。
瞬間的には.716を付け、ここで利確できれば+19.6pipsの利益となりましたが、この高値を記録した足では2σでのバンドウォーク中ですので利益確定は難しかったと思われます。これを取り逃がしたと悲しむ必要はないでしょう。
考察
前述のように、今回試している手法は明確なシグナルはなく、経験則を交えた裁量トレードなので、万人が同じような再現性を持つ手法ではありません。それでも、初心者の方でも比較的容易に利益が出しやすいのではないかと思っています。
この手法でトレードする場合の時間帯は日本時間で夕方〜深夜の欧州時間・NY時間が良いと思います。大きなトレンドが出やすいからです。また通貨ペアに関しては、ドル円よりもユーロドル、ユーロ円、ポンド円のほうがトレンドが継続しやすい傾向にあり利益も出しやすいと思います。
今回、ドル円の記録で1週間で100万円→270万円まで増やすことができました(下の画像)。勝率は平均すると5割程度ですが、トレンドにうまく乗れると1度のトレードで30〜100pips、最大で150pips取れたこともあります。損切りまでの距離が近いため勝率は低くなりがちなのですが、少しでも勝率を上げるために前述の通りエントリーサインが出た後で執行するか否かをフィルタリングしています。

大体リスク・リワード(損失平均・利益平均)が1:2の比率であれば、勝率が30%を割っていたとしてもプラス収支にできることが多いです。もしリスクリワードが1:1であれば勝率50%でもスプレッドやスワップでマイナスになります。リスクリワード2:1、所謂スキャルピングに多い手法ですが、これだと勝率は6〜8割必要になります。利益が小さいコツコツトレードがいかに相当難しいのが分かるのではないでしょうか。
私は昔スキャルピングが好きでよくやっていたのですが、コツコツ小さな利益を重ねていても、数回に一度大きく負けることがあり、トータルでは全然勝つことができませんでした。所謂「コツコツ・ドカン」状態です。今回試しているトレードでは、損はコツコツ、利益はドカンと大きく取れるので、私が負けていた手法を本当に逆にしたような理想的なプロフィットチャートが出来上がります。
課題
一番は、レンジ相場では利益は出ない、トレンドありきのトレードスタイルということを理解しなくてはいけません。エントリーしたもののトレンドの発生ではなく、単にレンジ相場の変動幅が広がっただけというケースが多く、その場合は戻ってきてしまいますので損切りになることがとても多いです。この手法の一番の問題はその点で、いわば「レンジ」か「トレンド」か、の判断精度向上にかかっています。引き続き検証していこうと思います。
参考までに。
雑感
本業の仕事が始まり忙しくなりました。もうお正月気分も完全に抜けて、いつも通りって感じですね。Twitterで今月の抱負ということで勉強する誓いを立てたのですが、意外と続いていて良いスタートを切れました。がんばっていきます。